人工授精(AIH)とは?
人工授精と聞くと何か人工的なイメージをお持ちではないでしょうか?
ところが人工授精の基本は自然妊娠に近いものなのですよ。通常の性交では膣の奥で射精された精子が、自らの泳ぎで子宮の中に上っていきます。
一方で、人工授精は医療用のやわらかいストローで、精子を子宮の奥へ送り届けます。
通常の性交
膣の奥で射精された精子が、自らの泳ぎで子宮の中に上っていきます。
人工授精
排卵日にご主人から預かった精子を柔らかいストローを使って子宮の中まで精子を届けます。
性交と人工授精の共通点
通常の性交でも、人工授精でも、子宮から先は精子は自らの泳ぎで卵管の中の卵に到達し、受精します。なので人工授精も妊娠が成り立つメカニズムは自然妊娠とほぼ同等です。
排卵日前にあらかじめ受診していただき、排卵日を予測します。
お薬を使わずに自然排卵で行う場合もありますし、排卵が不規則な方は排卵誘発剤を使用しながら行う場合もあります。 排卵予想日に精子をお持ちいただき、精子を洗浄してから人工授精を行います。
洗浄には約1時間、子宮の中に精子を入れる処置は3分程で終了します。
痛みはほとんどありません。
人工授精を受けた方がいい患者さま
- 精子検査で濃度や運動率が正常値を下回っている方
- 何らかの理由で通常の性交が持てない方
精子検査で正常値を下回った患者さんは、精子が子宮の中に到達できていない可能性があります。 人工授精で精子を子宮に送り込むことで妊娠を期待します。 この手法はとても単純な理屈で、精子をできるだけ卵管の中の卵子に「近づける」ことで妊娠を期待するものです。
子宮の中に入れた精子は通常の性交と同様、卵管の中の卵子まで泳いでいくという点で、自然妊娠と同じメカニズムで妊娠が成立します。
人工授精で妊娠される患者さんのほとんどが4~6ヵ月以内に妊娠されます。 しかし6ヵ月行っても妊娠されない場合は人工授精では妊娠が難しいと、統計データ上で明らかになっています。 6ヵ月行っても妊娠されない場合は、体外受精へ治療を進める必要があるかもしれません。
気づかれましたか?
人工授精の「授精」は、卵子と精子がひっつく意味の「受精」と発音は同じですが漢字が異なります。
「授精」は精子を「授ける」という意味なんですね。人工授精は、人の手で精子を子宮に授ける(入れる)という意味なんですよ!!
決して、人工的に「受精」させるわけではありません。人工的に「受精」させる治療は『体外受精』になります。